続いて【岩手うんめぇ〜団】が向かったのは紫波町のりんご畑だ。りんご生産者の森川勇さんから話を聞かせてもらった。広大な傾斜地の畑、数え切れないりんごの木、その一本一本に美味しそうな赤い実をぶら下げていた。りんごと一言でいっても品種は数十種類以上もあり、森川さんには今が旬で料理やデザート作りにぴったりの【ジョナゴールド】という品種を選んでもらった。
「美味しく育てるコツは何ですか?」。杉浦団長の質問に「太陽と雨が大切です。それさえあれば美味しくなるんですよ」。森川さんは、いたずらっぽく笑う。りんご農園を作るときに、土の質や地下水、風向きなど、りんご栽培に最適な場所を徹底的に選んでいるからこそ、言える言葉だ。特に土が与える影響は大きく、北上川の西と東で木の栄養の吸収が違い、味も違ってくるという。
「美味しく実ったりんごを、極力美味しい状態で届けるのも生産者としての大切な仕事です」と森川さん。もちろん日々の仕事にも抜かりはない。一本一本の木を長年の経験でチェックして、実り過ぎたりんごを間引いたり、栄養がムラなく行き渡るように木と木の間隔にも細心の注意を払っているのだ。
「収穫するときは色づきが良いものから集めます」と森川さん。杉浦団長が「りんごの木が低いのにも理由があるんですか?」と質問する。「りんごの木は満遍なく太陽に当たるようにどれも低くしています。それに、りんごの木が低いことで脚立がなくても手を伸ばせばりんごを掴めるし、生育の状態もよく観察できるんです」。「あぁ、なるほどね、ちょっとしたことですけど、良い考えですね」と笠原副団長。「若い木の方がたくさん実って甘くなります」と森川さん。りんごを育てる土には、ご近所さんから頂いている良質な豚糞(とんふん)堆肥を使っていて、これが栄養満点で良質なりんごを育てる秘密なのだそうだ。「厳選した環境で作るりんごに必要なのは、人の手を掛け過ぎず、見守ってやることなんです」と森川さんは胸を張る。
森川さんはよく日の当たるりんごの場所へ案内してくれた。「この辺のりんごはもう食べられますね。どうぞもぎ取って食べてみてください」と言う。すると杉浦団長、菰田副団長、笠原副団長は、太陽の日射しがよく当たって赤くずっしり実ったりんごを楽しそうに選ぶ。その場でもぎ取ってガブリ!とかぶりつく。
「甘い!食感がシャッキシャキですね。しかもみずみずしい!」と杉浦団長。一口かじる度に心地良いりんごをかじる音が畑に響き渡る。「でも、甘いだけじゃなくて少し酸味もあって料理向きかもね」と菰田副団長。「そうだね、料理向きだね。料理にするならどんな感じ?」と笠原副団長が菰田副団長に聞き返す。「んーー、肉と一緒に炒めてー・・・チンジャオロースとか?」と菰田副団長。またチンジャオロースかい!というツッコミを一同から受ける。でも美味しそうだ。「このジョナゴールドは心地よいシャキシャキという食感と、爽やかな酸味の甘酸っぱさが特長です」と森川さんが教えてくれた。「普通のりんごより酸味があるから味のアクセントとしても使えますね!」と杉浦団長。「りんごって甘いだけじゃないんですよ。太陽のエネルギーをいっぱい浴びたりんごは、こんなにも美味しいんです」。森川さんは誇らしげだった。取材が終わった後にスタッフも交えてりんごの収穫体験をさせてもらい、ごちそうになった。恵まれた天候と暖かさで、なんとも健康的で美味しい。