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三上亜希子さんエッセイ

短角牛と小正月

最近は牛肉や赤身肉がブームみたい!新聞や雑誌の中でそんな記事を見つけると、ふむふむなるほど、と少し得意な気持ちになります。なぜならば、実はわが家は牛飼い農家。そしてその牛がまさに赤身が自慢の牛だからです。

その牛は短角牛。もしかしたらご存知の人もいるかもしれませんが、短„め„の角(全てが短いわけではないので)と赤い毛色が特徴の牛です。私が暮らす地域はその発祥ともいわれ、わが家を含め近所では今ものんびりと牛との暮らしが続いています。

 餌をつくり、世話をし、それは時々大変です。けれどずっと牛がいるのはそれが「いい牛」だからです。好き嫌いなく地元の草で大きく育ち、堆肥がとれ、子育てがうまい!それがこちらの「いい牛」です。そして地域のみんなはそんな牛が大好きで、暮らしの中のあちこちに牛が登場。例えば小正月のお飾りも。なかなかかわいく、私は大好き。

 暮らしにはいろいろ工夫が必要です。その中で、地域に根付いてきたものは、人々が暮らしの中でみつけてきた相棒のような気がします。岩手の牛は、いきものは、暮らしの中に普通にいて、それがイイナと思っています。

 「短角牛」、「岩手産」いずれもどこかでみかけたらどうぞよろしく。のんびりとしたこちらの暮らしも届けばいいな、と思っています。

いわての牛は、いきものは、暮らしの中に普通にいて、それがイイナ、と思っています。

三上亜希子さんプロフィール

1973年埼玉県生まれ。
学生時代に訪れた岩手県岩泉町で民俗資料展示室の仕事を得る。
同室勤務を経て同町釜津田で畜産(短角牛)と林業を営む農家に嫁ぐ。
家族や地域の人々との日々の暮らしやできごとをブログで紹介している。
現在、義祖母、義父母、夫、牛10頭、犬、猫とともに暮らす。

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