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三上亜希子さんエッセイ

夏の畑の不思議たち

 関東以南のあちこちで厳しい残暑の便りが残る中、日本列島の北寄りの岩手はもう空の高い季節をむかえています。つまりいわての夏は短くて、だからいわての夏はとても貴重。

 そしてそんな夏を彩るのが、夏の畑のにぎわいです。キャベツ、ピーマン、ニンジン、キュウリ、ジャガイモ、ササギ、ネギにシソ……いわての夏の畑にはいろいろな野菜が育っています。ちなみに私はササギとジウリが大好き。どちらもこちらの昔ながらの野菜ですが、これを食べると夏だなぁ!と思うのです。

 一方で、そんな夏の畑をにぎわせるのは野菜だけではありません。野菜畑の人たちはなんだか不思議!お互いに野菜を沢山作っているのに同じ野菜を交換し合ったり、朝な夕なと野菜のつまみ食いを楽しんだり。それはちょっとへんてこな感じ。 けれど、貴重な夏、そして貴重な野菜を満喫するにはそれくらいが当たり前なのかもしれません。

 いわてでは、街でもひとは産直や近所のお気に入りのスーパーや商店に並ぶピチピチ新鮮な野菜を求めるのが大好きな気がします。夏には夏の野菜を食べなくちゃ、いわてにはそんな気概がま だまだ根強くあるような気がします。それがすべてなんだかとても楽しいです。

 いわての夏は短いから、いわての夏の畑には野菜だけでなく季節への喜びや楽しみがギュッとつまっている気がします。 いわての畑のささやかで大いなる存在価値です。

岩手の夏の畑には、人をつい、へんてこにする不思議な力がある気がします。

[トマト]環境にやさしい方法で、甘くて新鮮なトマトを届けてます。

[ピーマン]夏秋期では、全国トップを争う生産量。

[とうもろこし]夏場の昼夜の気温差が、甘く、おいしく育てます。

[キャベツ]県北の岩手町は、日本のキャベツ生産発祥の地。

三上亜希子さんプロフィール

1973年埼玉県生まれ。
学生時代に訪れた岩手県岩泉町で民俗資料展示室の仕事を得る。
同室勤務を経て同町釜津田で畜産(短角牛)と林業を営む農家に嫁ぐ。
家族や地域の人々との日々の暮らしやできごとをブログで紹介している。
現在、義祖母、義父母、夫、牛10頭、犬、猫とともに暮らす。

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