Vol.027 岩手のレタス





都道府県の中で、北海道の次に広い面積を持つ岩手県。雄大な山々や美しい清流、豊かな海に恵まれた自然あふれる土地で、人々は地域ごとの特色を活かした農業や漁業を営んできました。今回ご紹介するレタスもその一つで、県北に位置する一戸町の奥中山地域は東北最大のレタス産地です。スキーや温泉が楽しめる奥中山高原が広がっていて、夏でも爽やかな風が吹く冷涼地。県内ではこうした涼しい環境を活かして、さまざまな場所でシャキッとみずみずしいレタスを作り続けています。


高橋さんは祖父母からレタスの圃場を受け継ぎ、現在は結球レタス8haと非結球レタス4haを中心に農業を営む。二戸地域野菜生産部会のレタス専門部部長としても活躍し、産地全体の価値を高めることを目指している。




収穫期を迎えたレタス農家の朝は早く、毎日4時頃からスタートします。奥中山地域で20年以上もレタスを作り続けている高橋政一さんは、ご家族や技能実習生、地域のお手伝いの方々と一緒に収穫。様々な種類のレタスを1日に500ケースほど出荷していて、ひと玉ずつ手作業で刈り取り、丁寧に出荷用コンテナへ詰めていきます。
「こうして一緒に収穫してくれる仲間がいるから、毎日出荷できるんです。決して楽な作業ではないので、みんなに感謝しています」と、笑顔を浮かべる高橋さん。2019年には地域の農家とともに「グローバルGAP」※の団体認証を取得し、「より安心安全なレタスを消費者の皆さんに届けたい」という思いを形にしています。
そんな高橋さんが丹精込めて育てたレタスは、葉に厚みがあり、シャキシャキとした食感と驚くほどのみずみずしさが特徴。爽やかな苦味の中に優しい甘さも感じられ、そのままサラダにするのはもちろん、和洋中とさまざまな料理に活躍してくれそうなポテンシャルを秘めています。



高橋さんは「レタス栽培を始めた頃は失敗続きだったんですよ」と苦笑いを浮かべますが、現在は自身の経験を踏まえて若手の生産者を育成する取り組みも行っています。
「近年は奥中山の夏も暑くなってきて、レタスにとっては厳しい環境かもしれません。それでも工夫や改善を重ねて、『やっぱり岩手のレタスはおいしいね』と言っていただきたい。そのためにも、仲間と力を合わせて頑張っていきたいです」と、語ってくれました。



バターとアンチョビを溶かしたフライパンに、大ぶりにカットしたレタスを入れて焼き目を付けていきます。レタスを皿に盛り付けたら、こんがり焼いたベーコンと温泉たまごをトッピング。最後にパルミジャーノ・レッジャーノをかけて完成です。

岩手県盛岡市にあるイタリアンバル「ロッシュマーノ」は、豚肉を中心に県産食材を用いた料理が人気の店。
オーナーシェフの菅洋介さんは「岩手県はジャンルを問わず、食材が豊富な土地。新しい食材と出会う度に、ワクワクしながらメニューを考案しています」と笑顔を浮かべます。そんな菅さんが県産レタスで新たに作ってくれたのは、味や食感を存分に活かしたオリジナルのサラダとパスタでした。
バターとアンチョビを溶かしたフライパンに、大ぶりにカットしたレタスを入れて焼き目を付けていきます。レタスを皿に盛り付けたら、こんがり焼いたベーコンと温泉たまごをトッピング。最後にパルミジャーノ・レッジャーノをかけて完成です。



レタスと杜仲茶ポークの相性を考えて試作を重ね、最終的にペペロンチーノを選択。杜仲茶ポークは低温調理でしっとりとしたローストポークにし、完成の直前にレタスを加えることで食感と彩りが楽しめる一皿に仕上げました。
[杜仲茶ポーク]
岩手県八幡平市で育った杜仲茶ポークは、その名の通り粉末状にした杜仲茶を飼料に混ぜて育てたブランド豚。臭みがなく、柔らかくて甘みのある肉質が特徴です。