岩手のごっつぉ食べらんせ

豚肉

首都圏で注目を集める銘柄豚がある。
岩手中央の頭文字を取って
「岩中豚(いわちゅうぶた)」。
東京食肉市場において最高値で取引される。
その秘密は、安全・安心を徹底した設備と管理、
研究を重ねた飼料にある。
クオリティを保ちながら毎月約2,200頭を
出荷できるのは設備の力だけではない。
社員たちの熱い想いと、細やかさ。
「お前のことを見守っているよ」という
気配りがあることを忘れてはならない。

北上市

豚肉
名称:岩中豚
供給:通年
●特徴

豚の発育を妨げる特定病原菌がいない環境で育てられたSPF豚肉。約180日かけてじっくりと育てる。肉質が柔らかで臭みが少なく、ビタミンEを豊富に含む。

豚舎
豚舎

東京食肉市場No.1の肉質は
徹底した衛生管理から

 国内一の取扱い規模を誇る東京食肉市場。全国各地から国産の銘柄牛・銘柄豚が集まり、同市場の取引価格は、全国の食肉取引の目安とされている。岩中豚は東京食肉市場銘柄豚協会の銘柄指定第1号に認定。最高値で取引される高級銘柄豚だ。
 高品質を生み出すのは、徹底した衛生管理にある。岩中豚を繁殖から肥育まで一貫生産するケイアイファウムは、「SPF (Specific Pathogen free)」認定農場。農場に病気を持ち込まないための設備や管理、薬剤使用の制限などに厳しい基準を設け、それをクリアした農場だけが認定される。
 農場への出入りはシャワーインシャワーアウト。場内へ入る前に全身を洗い、場内専用の衣服に着替える。農場から出るときも全身を洗う。持ち込まれる物品は消毒するのが基本だ。豚の管理も徹底しており、1頭1頭を識別できるように、生後間もなく「耳刻(耳に刻みを入れること)」をする。

豚舎

 豚の健康を守るための厳重な管理体制。だが、システムだけではなく、作業スタッフたちの細やかな目配り気配りがあってこそだと生産・販売担当の宮地博史さんは語る。
 「同じ部屋で同じ量のエサを与えていても、皆同じように育つわけではありません。私たち人間が兄弟でも体型や性格が異なるのと一緒です。全体を見渡しながら、ちゃんと食べているだろうか、寒くないだろうかと心配しているとき、子育てに似ているなとつくづく感じます」。

宮地博史さん

宮地博史さん。茨城県出身。大学卒業後、サラリーマン生活を経て、結婚を機に有限会社ケイアイファウムに入社。農場の作業スタッフとして10年以上勤務し、現在は主に生産・販売の管理を担当。常務取締役。

ビタミンEの含有量が一般的な豚の約3.0倍

豚肉

 岩中豚のもうひとつのこだわりがエサだ。飼料会社と連携し、創業以来研究を続けている。麦、ビタミン、ミネラル類を与えることにより、ビタミンやαリノレン酸が豊富な豚肉になる。
  特にビタミンEは一般的な豚に比べて3.0倍も多い。ビタミンEには酸化防止効果もあるため、赤身の色が鮮やか。肉の保水性が高く、ドリップロスが少ないのも特徴だ。

溢れる肉汁 記憶に残る一皿

北上市

岩中豚の旨味の強さ ふわりとした食感の良さを存分に

 「Hamburg Will」は、東京でも指折りのハンバーグの人気店だ。テレビや雑誌の他、SNSやグルメサイトでも多数紹介され、開店前に行列ができることも少なくない。
 同店のハンバーグの最大の特徴として挙げているのが、「岩中豚100%」。店舗立ち上げの際、銘柄肉を探し求める中でたどり着いたのが、東京食肉市場でナンバーワンの人気を誇る岩中豚だった。
 旨味の強さと臭みのなさ、栄養価の高さに惚れ込んだ。

素材の良さを引き出す

 パテには肩ロース、バラ、腹身、ホホの4種の部位を使用。さらに、それぞれの部位によって荒挽きや細挽きにするこだわり。焼き上げるときにも細心の注意を払う。
 「火が通り過ぎるとパテが縮んでしまいますから、肉汁を閉じ込めて最大に膨らむ瞬間を見極めるんです」と清原店長は語る。
  ハンバーグにナイフを入れると、断面に肉汁がしみ出してキラキラと輝く。食感は柔らかで、噛むほどに肉汁が溢れ出す。デミグラスをはじめバラエティーに富んだハンバーグソースが、肉の味わいを引き立てる。

調理中の清原 悟さん
オーナー鈴木弥平さん

埼玉県出身。2015年に有限会社STPDファーストゲートに入社。副店長を経て、2018年からHamburg Willの店長を務める。大切にしているのはチームワーク。行列のできる人気店だけに、率先して声をかけてスタッフ間の連携に努めている。

Hamburg Will 清原 悟さん

柔らかな食感に
なるコツ

 パテを作るときにヨーグルトを加えると、焼き上がりがふわっと柔らかになる。入れる目安は、挽肉の重さに対して10%程度。成型するときにしっかり空気抜きすることも重要だ。

挽肉10:ヨーグルト:1
Hamburg Will
Hamburg Will ハンバーグ ウィル
  • 〒160-0022
  • 東京都新宿区新宿1丁目3-8 YKB新宿御苑ビル101
  • 営業時間/
  • [ランチ]11:30~14:30(L.O.14:00)
  • [ディナー]17:30~20:30(L.O.20:00)
  • TEL]03-3358-4161

岩中豚の取材は、下記の皆様にご協力いただきました

  • (有)ケイアイファウム
    〒024-0104
    岩手県花巻市高木24-53
    TEL:0198-23-5298
  • Hamburg Will
    〒160-0022
    東京都新宿区新宿1丁目3-8
    YKB新宿御苑ビル101
    TEL:03-3358-4161

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