岩手の達人が教える いわて・食・紀行

岩手県下閉伊郡川井村 川井やまばと会

「ひゅうず」

「ひゅうず」の盛り付け

寒冷地ゆえに米が貴重品だった岩手では、小麦、蕎麦、雑穀など米に代わる穀物を利用した独自の食文化が生まれました。「ひゅうず」もそんな岩手を代表する伝統食のひとつです。

農作業のおやつとして食べられていた

「ひゅうずはね。小昼といって農作業の休憩時間のおやつとして、むがしから作られてきたものなのだっス。朝作ってお茶と一緒に持ってゆくんだども、美味しいし片手でほうばれる。硬くなったらホレッ、ストーブで焼けばまたこれが風味が増すのよ」とは、川井村の「道の駅やまびこ館」で伝統食を製造販売している『川井やまばと会』の澤口ミエさん。

何かと忙しい農家のおやつだけに作り方はいたって簡単。地元産のナンブコムギの粉を練って作った皮の中に、クルミ、黒砂糖入りの味噌餡を入れ、餃子のように半月状に折り曲げお湯で茹でたら出来上がり。ほおばると、中から甘辛い味噌あんがトロ〜リ。クルミとの相性も抜群です。最近は砂糖入りの甘辛味噌が主流ですが、砂糖が貴重品だった頃は、中に自家製の豆味噌とクルミを詰めたものが普通だったとのことです。

最近は懐かしい故郷の味として注目

味噌餡を入れる 川井やまばと会のみなさん

その名称は、形状が似ている「火打ち石」が訛ったものと推測されますが、地域によって「ひゅうじ」「みみもち」「かますもち」などと呼ばれています。「川井ではね、地区の運動会のおやつ、お盆のお供えにも使われるのっス。お祝い事の晴れ食は『餅』だども、「ひゅうず」は日常食。子供たちと一緒に作ることができるから、知らず知らずのうちに親から子へ、子から孫へと受け継がれていくんだべね。それぞれの家の作りかたがあるので、味も形も微妙に違うのっス」。素朴だけれど、お母さんの優しさがいっぱい詰まった懐かしい味に、近年では観光客のフアンも倍増。県内各地の産直施設でも人気を集めています。

■材料(4人分)
・ナンブコムギ(または中力粉)/250g ・熱湯/200cc ・クルミ/20g・黒砂糖/25g ・田舎味噌/大さじ1 ・黒ゴマ/適宜
■作り方
@クルミと黒砂糖を細かく刻み、味噌をよく混ぜあわせる(澤口さんらは黒ゴマも加える)
A小麦粉に熱湯を加え箸などで素早くかき混ぜ、耳たぶ程度の堅さにこねる。
BAを8等分し直径10cm大の円形に伸ばし@を包む。合わせ目をよくおさえ半月状にする
C沸騰したお湯でゆで、ひゅうずが浮き上がってきたらざるにあげる。流水で冷やし水気を切ると出来上がり
■料理のポイント
小麦粉に加えるお湯は熱いほど皮の仕上がりが柔らかくなる。皮は小麦粉をこねるほどに滑らかになり美味しいさが増す。澤口さんは200回ほどこねるとのこと。

Copyright(c)2005 pref.iwate All Rights Reserved.