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料理人が語る、いわての食財。

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トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ 店主 石川勉シェフが語る「岩手の肉と野菜」

白金豚と岩手の野菜は、肉はその肉の味、野菜はその野菜の味がする。

 トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョは、イタリアン好きにとっては、一度は訪れたい店。そして、一度訪れると病みつきになるお店です。その秘密は、石川勉シェフとスタッフが醸し出す「家族的な雰囲気」の心地よさ。活気にあふれ、温かで楽しい雰囲気に包まれたその時間は、料理のおいしさとともに訪れる人たちを虜にします。そんなお店づくりを石川シェフは、シチリアでの修行時代の経験から学んだそうです。義理人情に厚く、母親中心の家族主義。故郷岩手や東北に通じるものがあるんだとか。石川シェフに岩手の食材と岩手への思いを伺いました。

 シチリア料理を志したのは、だれもやっていないことをやりたかったから。当時は80年代の前半で、イタリア料理もそんなに身近じゃなかった。フランス料理全盛の時代。イタリアから帰ってきた人も、トスカーナ、ピエモンテとか、ローマよりも北に行った人が多かった。南の方に行った人がいなかったんです。それと、当時、ゴッドファーザーが流行っていて、シチリアに興味があった。
 だれも行ってないから、もちろんコネもなくて。いきなり呼び鈴ならして、労働ビザもないのに「働かせてくれ」って。驚いたと思うよ向こうは、いきなり戸口に見も知らない日本人が立っているんだもの。そこで無給で働きはじめて、3ヶ月目かな、200万リラの給料をもらった。働きぶりで信頼された。そのお店は街中のお店だったんだけど、海辺に店を移転するっていうんで、お前も来いって誘われて、給料も500万リラに上げてもらった。
 シチリア人の気質は、義理人情に厚い。はじめはよそ者をなかなか受け入れないけど、一度受け入れたら、家族同然。そこで一年修行して、それから日本に戻ってきて、働きながら機会をみて行くってかたちの交流は、いまでも続いてます。本当に、いい仲間って感じです。
 シチリア料理の魅力は、島だからその土地でとれるもので、調理する。食材も調味料もその島でとれるもの。シチリアは柑橘類とオリーブが穫れる。気候があたたかくて、太陽の熱があって、野菜も味が濃くて、風味も豊か。力強いんだ。島国なので、当然魚介も豊富。
 一方、山もあるので、羊だとか、きのこだとか、アスパラだとかがとれる。塩は岩塩でミネラルが豊富で旨みがある。オリーブの木は柑橘類の間に植わっているんで、柑橘系の風味が移って、潮の味があって、よそにはない風味がある。そこに来て、人がいい。ファミリーを大切にする精神は学ばされた。親を大切にする。母親いちばんですから。

 僕は岩手の前沢出身で、高校生までそこにいました。5年ほど前、親戚のおばちゃんにフキノトウの天ぷらを振る舞われて、おどろいた。本当においしいなあと思いました。味が濃くて、東京だと高級料亭でしか食べられないような食材です。これを岩手では、ふつうに食べてる。しいたけ、豆類はびっくりするほど旨い。赤米、黒米も送ってもらってますが旨いですよ。
「ドンチッチョ」では、白金豚と短角牛をおもに使ってます。白金豚は出始めのころから使ってる。肉質は噛みしめると肉汁が出てくる、脂も甘い。うちでは骨付きのロースは炭火でグリルする。シチリアでも豚肉はよく食べるけど、負けてない。それと短角牛。この牛肉は赤身が旨い。噛むほどにおいしくなる。イタリアの牛肉に通じるものがある。タリアータ(牛肉のタタキ)がいいね。

 あの震災のとき、炊き出しで岩手に行きました。田舎の人は遠慮深いから、お代わりしたくても出てこない。うんと大盛りにしてやって、喜ばれた。行ってよかったと思ったなあ。そこで岩手のためになにかできないかって思って、岩手の旨い食材を使った店をはじめたんです。岩ビーノ(ガンビーノ)。岩は岩手からとった。ビーノはイタリア語でワイン。岩手の旨いものとうまい酒がある店。岩手の食材の良さをみんなに知ってもらいたいね。

トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ

〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-3-6 SGSSSビル1F TEL03-3498-1828

石川勉(いしかわつとむ)シェフ
プロフィール

1961年生まれ、岩手県前沢出身。神宮前「ラ・パタータ」を経て、84年単身シチリアへ。
パレルモ「チャールストン」で1年を過ごし、その後フィレンツェ、ボローニャで修業を積む。87年に帰国後、「クッチーナヒラタ」等、を経て、00年「トラットリア ダ マンズィーノ」で独立。06年2月同店を閉め、10月「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」を開店。

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